クリスマス。
仕事が終わり、ヤン達とともに美味しいディナーをいただく。
アッテンボローと、ユリアンが調理担当。レストランには及ばないが彼女は食べることが好きなので、
なかなかうまいものをつくる。でもこの日はあえてアッテンボロー腕を振るわず。
フレデリカ・グリーンヒルがいつぞやヤンにしたようにレストランの料理を予約しておき、もって来た。
「アッテンボロー提督は本当に女性にお優しいのですね」
賢い子供ユリアンはキッチンで簡単なサラダを作っているアッテンボローに言った。
「先輩に手料理を振舞うのはもったいないからね。あのひとはそれほど味に頓着しないし。」
少年は隣の女性提督が大好きだった。
いつもヤンの家に来ては冗談ばかり言っている。でも提督である。
そして目を見張るほどの美人なのに、気取らない。
彼のもう一人の大好きなフレデリカ・グリーンヒルの気持ちをちゃんとわかっていて、
そして彼女があまり料理と仲良しでないこともアッテンボローはしっていて、本当はすごく料理が
上手なのにそれを披露しない。そういうことは本当の淑女じゃないとできない心配りだと
少年は考えた。
ユリアンはそんなやさしさのあるアッテンボローにあこがれるし、ヤンの副官として優秀なフレデリカも
敬愛していた。
フレデリカには前もって、クレープを作ってくるようにアッテンボローは言った。
「クレープの間にはレタスとツナとオニオンが入っているとヤン先輩はよく食べるんだな。
ブラックペッパーを少し加えるとさらにいいね。マヨネーズも忘れずに・・・」
フレデリカの作ったクレープは形はともかく実においしいもので、ヤンやユリアンが
褒めちぎった。かわいらしい女性がささいなコンプレックスを抱えているのは見るに忍びない。
アッテンボローの作戦勝ちである。
プレゼント交換をしたり、ゲームをしたりして、遊んだ。
プレゼントはフレデリカのプレゼントがきちんとヤン・ウェンリーの手元に納まるように彼女は、
裏工作をしている。
裏工作だの、そういうことは彼女の十八番だ。
ヤン・ウェンリーは彼にとてもよく似合いそうな色合いのカシミアのマフラーをその日頂戴した。
深いブラックに近いグレイなのでファッションに縁遠い青年司令官でも気軽に使える。
「似合うかな」
ヤンは寒くもないのに首に巻いた。
「お似合いです」
ユリアンが答え、フレデリカは頷き、アッテンボローは「まずまずです」といった。
このマフラーを選ぶまでアッテンボローはフレデリカにきっちりお付き合いをしている。その買い物のとき、
ヤンならアクリルでもカシミアでも感触など違いがわからないといいたいのを、
13回こらえた2時間だった。
アッテンボローはフレデリカが大好きだったので
彼女の恋路は邪魔したくない。
フレデリカにはユリアンからのプレゼントが回った。ちょっとした観葉植物。
ずいぶんと苦労の後が見えるねとアッテンボローは茶化した。
「これならどなたに当たっても大丈夫だと思ったんです。水遣りは少なくても大丈夫な品種です」
「目を休めるのに緑があるのはいいわね。ありがとう。ユリアン。ワークデスクに置くことを
許可いただけますか?ヤン提督」
「勿論。なんの問題もないよ。グリーンヒル大尉。」
フレデリカのやさしい微笑でユリアンはずいぶん、うれしい気持ちになる。
ユリアンにはアッテンボローのプレゼントが当たった。
透明なセロファンにリボンがかけられて、中には茶色や、クリーム色、乳白色のかたまりが3つ
入っている。
「せっけんだよ。蜂蜜の香りがするものと、カラメルの香りのもの。もうひとつは・・・
君にはいささか早い香りかな?
男の子でもせっけんの香りがするとなかなか女心をくすぐる」
ヤンや、フレデリカがユリアンに早い香りをかいでみるが、2人とも香水には興味がないので
わからないといった。おや、お2人にも早かったのですかと茶化す女性提督。正解はムスクの香り。
ユリアンでなくシェーンコップ准将であればすぐにその香りを言い当てられたであろうと
アッテンボローは陽気に言った。
「ポプラン少佐でも得意分野だろうね」
ヤン・ウェンリーは意味もなく言ったのだが、アッテンボローはその言葉には返答していない。
アッテンボローにはヤンから茶色の小銭入れが回ってきた。
「ついでに中身も入れていてくれればいいのに」
「人よりサラリーがよい人間が口にする言葉とは思えないね」
「先輩のほうがサラリーは上です」
「かなしいかな、給与はそれほど変わらないんだよ。アッテンボロー。それに君は独身貴族だから、
私以上に金を持っている」
「先輩だって独身じゃないですか」
「私にはユリアンという大事な家族がいるんだ」
と冗談を言い合った。
フレデリカは嬉しそうにヤンとはなしており、彼も悪くないと言った感じだった。
聞き手に回っているかと思えば、フレデリカとは緊張することなく彼はさまざまなことを
語ることができるようだ。ヤン・ウェンリーが美人と気楽に話ができるなんてめったにあるものではないと
アッテンボローはユリアンに耳打ちした。
「アッテンボロー提督だって、美人じゃないですか」
「うれしいことを言ってくれるね。じゃあ、ユリアン。私と婚約するかい?」
ユリアンはちょっと首を傾げていった。
「いえ、やめておきます。この要塞の男性士官の皆さんに恨まれて、訓練中に殺されるかもしれないので」
「じゃあ、チェスでもしようか」
「もちろん!」
アッテンボローはユリアン相手に三次元チェスをし、互角に戦った。
「なかなかやるね。ユリアン。」
「今、話しかけないでください。次の手を考えているんですから」
ヤンと、フレデリカはその熱戦を見て、顔を見合わせて微笑んだ。
悪くないクリスマス。
結局、明日があるので、と、フレデリカが帰り支度をしたのでアッテンボローもそれに習った。
「先輩、ユリアンに送ってもらっていいですか?今日はクリスマスだし、男に絡まれたら嫌ですし」
「かまわないよ。ユリアン、この美人の提督を彼女の部屋まで送っておいで」
ユリアンは敬礼をして了解といって、
「当然、フレデリカさんをヤン提督が送ってくださるんですよね?クリスマスに酔漢がうろうろしている
かもしれないですよ?」
「・・・確かに物騒だなぁ・・・。大尉、送るよ。」
ヤンはユリアンにちゃんと鍵を持っていくんだよと諭して、フレデリカが恐縮するのもかまわず、送るという。
「先輩はうでっぷしはからきしだけれど、内面は紳士だから、ぜひおくっていただくといいよ。大尉。」
そう。ヤンはこれでも、ジェントルな人であった。
こういうことはきっちりしているのがヤンの女性に関する美点かもしれない。
帰り道、ユリアンとアッテンボローはお互いの顔を見やってにっこりと笑った。
「おおむね大成功でしたね。今夜のクリスマス」
「まぁ、おおむねね。でも君はグリーンヒル大尉をヤン・ウェンリーにくれてやってもいいのかい。」
亜麻色の髪をしたユリアンがアッテンボローの身長にまで伸びるのは、あと一年はかかるであろう。
「とはおっしゃいますが、僕からすればグリーンヒル大尉は高嶺の花です。
ヤン提督は大尉がとても綺麗な人ってことも時々お忘れのように思えるんです」
「ヤン先輩はジェシカ・エドワーズ女史とも仲がよいからね。こういうことを人に知られたがらない人
だからおそらくは言質はそう簡単に取らせないだろうな」
「アッテンボロー提督こそ、クリスマスに過ごす提督のお眼鏡にかなう男性はいなかったんですか。
イゼルローン要塞の男性は好みじゃないんですね。」
「私の理想はかなり高いからね。だからいまだに一人なのさ。お前さんが私と変わらない年齢なら
ちょっと考えるな」
「それは光栄です」
ユリアンが笑った。
クリスマスも終わった。どうせもうこの時間ならあいつは誰かと過ごしているだろうし・・・。
その前にアッテンボローはポプランのワン・オブ・ゼ厶でしかなかったことを思い出した。
多くの女性のうちの一人。
オンリー・ワンでないなら、一人がいいや。
わがままって言われてもいい。
やっぱり多くの女性の中の一人では恋などできない。
アッテンボローは欲張りでわがまま。だからいつも、一人。
「提督、今夜はとても楽しかったです。ありがとうございました」
「悪いね。方便とはいえ君に私を部屋の前まで送らせたりして」
「提督だってけんかはお強いですが、美人に変わりはありません。僕、多分少しは提督を
お守りできるかもしれないです。来年になるでしょうがシェーンコップ准将に銃を習うんです。」
それに君はフライングボールの年間王だしね、と女性提督は自分の部屋の鍵を取り出して、
キーを挿した。
おやすみ、ユリアンといおうとしたのだが・・・
「どうなさいました?」
「声を落として。あいてるんだ。ドアが。」
アッテンボローが閉め忘れるような人ではないとユリアンは知っているので、緊張した。
「君は下がってなさい。私が中に入ったら、MPを呼んでくれ」
小声でいうが早いか、彼女はハンドバッグに忍ばせたブラスターを取り出し、
ハイヒールにもかかわらず自分のフラットのドアをおもいきり蹴飛ばしてあけた。
「手を上げろ」
「撃つのはやめてくださいよ。物騒なひとだな。おそいんだから。
提督。貸しですよ。貸し。」
彼女の部屋にいたのは両手を挙げてリビングのソファに堂々と座っている
オリビエ・ポプラン。
「な、なんでお前がこの部屋にいるんだ?どうやってはいったんだ。」
「企業秘密。お。ユリアン。レディの見送りご苦労だったな。なかなか紳士的じゃないか。」
ユリアンはアッテンボローの顔をぱちくりと見て、
「MP、呼ばなくてもいいですね。僕、帰ります。」
とあわてたように、駆け足で帰っていった。脱兎のごとく。
まったく。
こいつは何ものなんだ。アッテンボローはヒールを履いたまま立ち尽くした。
空戦隊では女性士官の部屋のロックをはずすことまで身につけるのか?
それともレディキラーともなればこれくらいなんとでもなるものだろうか。
アッテンボローはあきれてしばらく自分の部屋の玄関に立ち尽くした。
「このオリビエ・ポプランがイベントの夜、待ち惚けなんてざま女性を知って初めてです。
罪なヒトですね。提督」
ポプランは勝手にアッテンボローの部屋でくつろいでる。
「お前なぁ。」
アッテンボローは脱力していった。
「たたきだすのはお手の物でしょう?おれだって軟弱者といわれていつまでも引っ込んでるほど、
かわいらしい性格じゃないんですよ。今後は遠慮しません。」
「つまり、出てけと言っても無理ということだろう。」
「そういうことです。」
アッテンボローは鞄をほって、ヒールもけ飛ばした。そして、あきらめたかのように
ポプランが座っているソファの隣に腰掛けた。
酒をそれほど飲まなかったが彼女はソファに座ってすこしめまいがした。
なかなか目の焦点が合わないようなそんな状態。
ふっとため息を漏らした。
「確かに遠慮してないようだな。まるでお前さんの家のようじゃないか」
「提督こそ、おれが好きならもっと早くいってくださいよ。他の女を探す手間が省けるのに。
わかりにくいアプローチしてくるんだから。素直じゃないとは知っていたけれど俺を困らせて
愉しんでいたでしょ。趣味が悪いです」
ポプランは緑の眸をきらめかせて、女にいった。
彼女は隣でため息をつく。
「あのね、私は私一人を必要としている男としか付き合う気はないんだよ。
お前みたいな女たらしじゃなくってね。シェーンコップに襲われている女も
助けないような弱い男じゃ嫌なんだ。」
「事情はわかったんですけれど。やっぱりだまってあの男に抱きしめられたあなたが悪いです。
俺にしたように足蹴にできたでしょう。こっちはキスを堂々としている姿しかわからないから
やきもち妬くじゃないですか。おれのジェラシーを掻きたてたかったんでしょ。」
「・・・。」
むすっとアッテンボローは黙った。両手で顔を覆ってまたも彼女はため息。
ポプランはせっせとシャンペンを空けて、グラスに注いで、
ひとつをicedollに手渡す。
「あなただけです。愛しているというのはそういうことでしょ。本気であなたを愛しているんです。」
彼は勝手にグラスを合わせた。
勝手だなぁとアッテンボローは思うのだが・・・さからえない、許してしまう、この男には。
「あなた一人が俺の女です。クリスマスには間に合わなかったですが、あなたの独身主義はおれが
必ず、返上して差し上げます」
エース殿は強気なことを言う。
まったく。
ペースに飲み込まれているような気もしないでもないが。だからこの男は癪にさわるんだ。
私の気持ちをかき乱して。
何?
プロポーズっぽくない?ドクシンシュギノヘンジョウ?
アッテンボローは呆れた。呆れたが・・・今日はどうも逃げ切れなさそうだ。
そしてもう彼女は逃げたいとも思えないでいる。
「オリビエ」
アッテンボローから、いきなりファーストネイムで呼ばれた2歳年少のエースは、
まじめな面持ちだった。その緑の眸に弱いのは実は彼女。
「浮気したら、口、本当に金輪際きかないからね。これきりだからな。」
レディ・アドミラルの突然のマウス・トゥ・マウスのキスにも、やはりエースは動じない。
男の頬に白い指を添えて、女は男の眸を見つめた。マラカイトを溶かしたような緑。
彼女からのキスのあと、男はその白い指に口づけする。
「ゴムなしってのが最高ですね。提督、美味しい。」
「しー。それは准将のために内緒にしておけよ。味方であるには違いないのだし・・・
秘密にしてやれ。私を手に入れたんだから・・・。」
「秘密にしましょう。あなたがそういうならばね。だから、もう一度キスしましょう。」
ねだる男に、もう一度彼女は唇を重ねた。
自然に体が男に傾くのであるが男はそれを簡単に受けとめる。
女は男の腕の中。
すっぽりと抱き寄せられる。
どこかの誰かよりははるかに上等なキスを頂戴した彼は満足げにいった。
「やっぱり提督、かわいい。もう一度キスしましょう。今度はベッドで。キスしてください」
彼女はあっけなく簡単に抱き上げられた。
抗う間もなく。
また、抗う気持ちもなく。
「ベッドにたどり着くまでに、キスしてくれます?」
「とっととはこべばいいだろ。寝室は隣。そんなことくらい知ってるくせに。」
彼女は真っ赤になってそういうのがやっと。
どうして身長が三センチしか違わない男に軽々と抱き上げられるのかとにもかくにも
恥ずかしい限りの彼女であった。
「キスしてくださいよ。俺の提督」
「お前からキスすればいいだろうが」
「じゃ、遠慮なく」
かなりの、熱く、長い、口付け。
キスってこんなにどきどきしたっけ?とわずかな過去の男性との経験を思うけれど
ただ舌が絡まるだけなのに。
そんなキス位したことはある・・・でも違う。
・・・思考が飛ぶ。この男のことしか考えられない。
やっと唇がはなれたと思ったら、彼女はベッドの上で、男は横たえた彼女を眺めている。
「あなただけですよ。あなたと出会ってから、あなた以外の女に恋ができない。ほかの女を恋してみようと
苦労したんですが無理でした。あなたしか欲しくないんです。わかります?俺の気持ち」
オリビエ・ポプランが見たこともないような真剣な面持ちで彼女に言った。
アッテンボローは・・・
「わかった」
と返事をして、男の淡い金褐色の髪に触れた。
きれいな色だな・・・。彼女は男の顔を引き寄せた。
「そんなに潤んだ瞳で見つめられたら、本当に抱きますよ。そうなると提督がいくらこれきりといっても
事が始まったら俺、とまらないと思います。
あなたに恋焦がれて、あなたが欲しくてたまらないんですから。今あなた俺を誘惑してるって、
わかってます?」
引き寄せた男の顔を見つめて、そのかわいい声を聞き、彼女は微笑んだ。
「わからないけれど、お前を誘惑できるなら、したいな。」
アッテンボローが素っ頓狂なことを言うので、ポプランは笑った。
そして彼女の体の上にゆっくり覆いかぶさって、またも長く、甘いキスをした。
「これ」
彼女は口付けのあと、ベッドサイドテーブルから今回の小道具、
「スキン」を出してきた。
「『いとしのビリーボーイ』ですか」
「SAFE SEX」
「ずいぶん古いうただなぁ。『Oh Baby SEXは楽しいもの だけどビリーボーイを使って』・・・」
「そういうことだ。ベッドでは使え。赤ん坊をあやしながら艦隊司令はごめんだ」
「どこで手に入れたんだろう。俺の提督。ちょっと気になるな。」
男が彼女の服を脱がそうとする。その間にもキスの嵐が容赦ない。
女はやっと一言。
「街のキャンペーンでもらったグリーンヒル大尉の分を預かったんだ。私がもらったものは
台無しにしちゃったし・・・ひとつしかないから・・・」
ひとつしかないから、今夜は一回だけと女はいいたいのであるが、男は魅力的な笑顔を浮かべて
あっけらかんとしていった。
「クリスマスプレゼントにちゃんと箱ダース部屋に用意してるから大丈夫。心配要らないですよ。」
そんなクリスマスプレゼントは嫌だと、あえぎながら言うと・・・
「あ」
エースがアッテンボローの耳元でささやく。
「桃の匂いがする。これって女性フェロモン。感動だな。提督、おれのことがほしいんですね・・・。」
いわれた当人は真っ赤になって、香水の間違いじゃないのかなどと抗弁したが、
「提督のフレグランスは、「eliotropio」。あれはヘリオトロープの香りはするが、フェロモンてのは
桃の香りがするもんです。」
と、ウィンクされた。
「それがどうした」
年下の恋人は、遠慮なしに彼女の言葉を無視して、当然のように次の行動に移した。
手馴れた様子で自分の衣服も彼女の衣服もはがしてゆく。抱擁と熱いキスは忘れずに。
裸の肌が熱を持って。つい男の背中に女はつめを立てる。
「ごめん」
「全然」
情事に久しい女に痛みでなく快感をもたらそうと男は、尽くす。意外にたくましい腕に抱かれて
女は戸惑いつつ、流れに身を任せるようにした。舌の絡まるようなキスを交わして。男の緑の
きらめく眸を女は見つめ、男は女の翡翠色から濃いブルーに変わる眸の色を見つめて。熱い吐息が
部屋に漏れ、濡れる肌も乾かぬように、ただ互いの体を抱きしめあって。
女性提督の甘い夜。
噂の種を蒔いたのは誰かは知らないが、アッテンボローは結局、ハートのエースに
あえなく撃墜されてしまった。
時間的にクリスマスではないから、かけも成立しない。
これで司令部の威信もなんとか死守できたかな?と頭によぎる。
彼女は案外それもいいかと思った。
「ダスティ」
「何?」
ベッドのなかでエースがにやりと笑う。何百回のキスのあとに肌を合わせて、何度も交わって、
男の緑の眸をじっと見る女。
ただの、男と、女。
「かわいい、俺の、女」
朱に交わってしまった・・・。
小憎らしいがどうもこのかわいい男に彼女の持っている母性本能がくすぐられたような
恋の始まり。
それもいいか。恋をしたのは彼女。そして彼。
今夜は取引なしで愛し合おう。
私の、かわいい、男の言葉を信じてみよう。
「本当に私だけ?」
「間違いなく、おまえだけ」
何度も体を重ねたあとに本当のクリスマスプレゼントが彼から、彼女に贈られた。
隠してあったのはバスルーム。
見事な白い薔薇の花束。花言葉は
「相思相愛」
麗しの艦隊司令官と、スパルタ二アン・パイロットとの恋愛合戦は開始されたばかり・・・・・・。
by りょう
あう。アッテンボロー。あなたの年齢がよくわからない。要塞に来たとき27歳だったようです。
DVDではあっという間に30にされていますが原作とやや違うタイムラグですね。
一応原作の時間軸を中心で。悩ましい女だぜ。
2008年11月7日
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